こんにちは。
今回は、次の2点について解説します。
- 公務員が自己都合で退職した場合の退職金の計算方法
- 公務員の退職金に関する今後の動向
僕は、現在地方公務員として働いていますが、1年後のコーチング起業を目指して準備を進めています。
そこで気になるのが、退職金です。
自己都合で退職した場合にもらえる金額はいくらぐらいなのか、また、公務員の退職金は減少傾向が続いているので今後どうなっていくのか。
退職金は、退職するタイミング、今後の生活の見通しを考える上で重要な要素ですよね。
もし、あなたが定年前の退職を考えているなら、きっと役に立つと思うので最後まで記事を読んでぜひ参考にされてください。
僕の退職金額も試算して記事内で公開しています。
退職金はいくらもらえる?計算方法について解説
退職手当の計算式は次のとおりです。
退職手当=基本額(退職日の給料月額×退職事由別・勤務期間別支給率)+調整額
それぞれの項目を分解して解説していきます。
退職日の給料月額については、ご自身の給料明細でご確認ください。
退職事由別・勤務期間別支給率
退職事由は次の6つになります。
- 自己都合
- 傷病
- 死亡
- 定年
- 高齢特例
- 整理
これらの退職事由と勤務期間によって支給率が異なります。
この記事では、自己都合と定年退職にしぼって解説します。
まず、自己都合と定年退職の支給率は次のとおりです。
勤続年数 | 自己都合 | 定年 |
1 | 0.5022 | 0.837 |
2 | 1.0044 | 1.674 |
3 | 1.5066 | 2.511 |
4 | 2.0088 | 3.348 |
5 | 2.511 | 4.185 |
6 | 3.0132 | 5.022 |
7 | 3.5154 | 5.859 |
8 | 4.0176 | 6.696 |
9 | 4.5198 | 7.533 |
10 | 5.022 | 8.37 |
11 | 7.43256 | 11.613375 |
12 | 8.16912 | 12.76425 |
13 | 8.90568 | 13.915125 |
14 | 9.64224 | 15.066 |
15 | 10.3788 | 16.216875 |
16 | 12.88143 | 17.890875 |
17 | 14.08671 | 19.564875 |
18 | 15.29199 | 21.238875 |
19 | 16.49727 | 22.912875 |
20 | 19.6695 | 24.586875 |
21 | 21.3435 | 26.260875 |
22 | 23.0175 | 27.934875 |
23 | 24.6915 | 29.608875 |
24 | 26.3655 | 31.282875 |
25 | 28.0395 | 33.27075 |
26 | 29.3787 | 34.77735 |
27 | 30.7179 | 36.28395 |
28 | 32.0571 | 37.79055 |
29 | 33.3963 | 39.29715 |
30 | 34.7355 | 40.80375 |
31 | 35.7399 | 42.31035 |
32 | 36.7433 | 43.81695 |
33 | 37.7487 | 45.32355 |
34 | 38.7531 | 46.83015 |
35 | 39.7575 | 47.709 |
36 | 40.7619 | 47.709 |
37 | 41.7663 | 47.709 |
38 | 42.7707 | 47.709 |
39 | 43.7751 | 47.709 |
40 | 44.7795 | 47.709 |
41 | 45.7839 | 47.709 |
42 | 46.7883 | 47.709 |
43 | 47.709 | 47.709 |
44 | 47.709 | 47.709 |
45 | 47.709 | 47.709 |
この表は、国家公務員の退職手当支給率ですが、地方公務員の退職手当の算定もこの表に準じています。
表では、45年まで支給率がありますが、基本的に、支給率は35年で上限に達します。
僕の勤める自治体の支給率も35年までしか表がありません。
自治体ごとに異なる部分があると思うので、確認されてみてください。
自己都合と定年退職の支給率を見比べると、自己都合の方が支給率が低く、勤続年数が長くなるほど差が開いていくことがわかります。
僕が来年度で退職すると、勤続23年目で辞めることになるので、支給率は「24.6915」です。
また、在職期間中に次の期間がある場合は、算定対象から除算されます。
<期間の2分の1を除算するものの例>
- 私傷病による休職、刑事休職及び研究休職(ただし、その内容が公務の能率的な運営に特に資すると認められる等の場合には除算されない。)の期間
- 懲戒処分としての停職の期間
- 育児休業の期間(ただし、子が1歳に達した日の属する月までの期間は3分の1を除算する。)
<期間を全て除算するもの>
- 職員団体専従休職の期間
- 自己啓発等休業の期間(ただし、その内容が公務の能率的な運営に特に資すると認められる等の場合には2分の1を除算する。)
- 配偶者同行休業の期間
調整額
調整額の算定方法は、人事院のHPによると次のとおりです。
調整額は、在職期間中の貢献度に応じた加算額であり、基礎在職期間(退手法第5条の2第2項にある「基礎在職期間」)初日の属する月から末日の属する月までの各月毎に、当該各月にその者が属していた職員の区分(第1号区分~第11号区分)に応じて定める額(調整月額)のうち、その額が多いものから60月分の調整月額を合計した額です。
退職手当の支給 (jinji.go.jp)
下の表は、人事院のHPに掲載されている、職員の区分に応じた調整月額です。
職員の区分 | 調整月額 |
区分1 | 95,400円 |
区分2 | 78,750円 |
区分3 | 70,400円 |
区分4 | 65,000円 |
区分5 | 59,550円 |
区分6 | 54,150円 |
区分7 | 43,350円 |
区分8 | 32,500円 |
区分9 | 27,100円 |
区分10 | 21,700円 |
区分11 | 0円 |
(注) 勤続9年以下の自己都合退職者等は調整額が支給されない。また、勤続4年以下の退職者(自己都合退職者以外)及び勤続10年以上24年以下の自己都合退職者は調整額が半額になる。
例えば、退職時に区分9だとすると、退職時から遡って60月のうち区分9の期間の月数、区分8の月数の順で計算式に当てはめていきます。
どこの自治体でもこの表を元に調整月額を設定していると思いますが、それぞれで違いがあると思うので、確認されてください。
僕の所属する自治体の場合は、59,550円が上限になっています。この表で言うと区分5ですね。
僕の場合、現在の区分は、この表で当てはめると区分9の27,100円です。
また、来年退職すると勤続23年目で退職することになるので調整額は半額になります。
実際に自分が来年度で退職した場合、いくらになるか計算した結果
自分が来年度に退職した場合、実際にどれぐらいもらえるのかを試算してみました。
退職手当の計算式に当てはめると次のようになります。
退職手当=基本額(退職日の給料月額×退職事由別・勤務期間別支給率)+調整額
基本額:354,200円×24.6915=8,745,729円
調整額:27,100円×60月×1/2=813,000円
※調整額は、区分の期間が確認できなかったので、現在の区分で計算しています。そのため、実際の金額はもう少し減る可能性があります。
退職手当:8,745,729+813,000=9,558,729円
また、病気休職期間が2か月あるのでその期間分は1/2減額されますが、その分は反映せずに計算しています。
なお、下記のサイト「keisan」で自動計算してくれます。
こちらでも試したところ一致しました。
公務員の退職金はなくなる?今後の動向は?
ご存知の方も多いと思いますが、実は、公務員の退職金は減少傾向にあります。
これから上がることはなさそうなので、そのうちなくなるんじゃないかと心配な方もいると思いますが、現時点でなくなる予定はありません。
ただし、今後も増える見込みは少ないので、あまり期待はできない状況です。
過去5年間の退職金の平均支給額の推移をまとめました。
年齢、勤続年数、自己都合、定年退職など、前提条件によって金額に影響があるため、比較しやすいように条件を次のとおり整理しました。
- 区分:地方公務員
- 勤続年数:25年以上
- 退職理由:定年退職等(勧奨退職除く)
参照年度 | 平均手当額(1万円以下は切り捨て) |
令和3年(2021年) | 2,184万円 |
令和2年(2020年) | 2,189万円 |
令和元年(2019年) | 2,188万円 |
平成30年(2018年) | 2,213万円 |
平成29年(2017年) | 2,286万円 |
最近は微減ですが、5年間で100万円以上減額となっているのは衝撃的ですね。ちなみに2006年は約2800万円支給されていたそうです!
定年延長のスケジュールと給与や手当への影響
それでは、定年延長の退職手当への影響を解説する前に、その算定基礎となる給与、また、手当についてどのような影響があるか解説していきます。
定年延長はいつから?スケジュールを確認
定年の延長についてはご存知だと思いますが、具体的なスケジュールをおさらいしてみます。
定年延長は2023年度から始まります。
次のように、2023年度から2031年度まで、2年に1歳ずつ引き上げられ、最終的に65歳まで延長されます。
- 2023~2024年度…61歳
- 2025~2026年度…62歳
- 2027~2028年度…63歳
- 2029~2030年度…64歳
- 2031年度以降…65歳
僕の職場でも、先日通知があり、改めてゴールが遠のいていくことを実感しました。
定年延長による給与への影響は?
さて、定年延長で気になるのはやはり給与への影響だと思います。
公務員の給与は、基本給の「給料」と「手当」を合計した額です。
給与明細にも「給料」と「手当」がわかれて掲載されていると思います。
それでは、給料と手当について、それぞれ定年延長でどう変わるのか解説していきます。
定年延長後の給料(基本給)は60歳以降には7割水準になる
給料は「級」と「号」で決まっています。
みなさんの自治体でも例規集などで、この「級」と「号」が表になった給料表があると思います。
定年延長後、60歳以降の給料は「給料表の額×70%」になります。
例えば、5級49号で37万3千円の給料をもらっていた場合、定年延長後の給料は、26万1,100円となります。
手当の扱いは給料と連動して下がるもの、変わらないものがある
次に手当について確認していきます。
給料と連動するものや影響がないものがあります。
例えば、元々給料と連動している手当は、給料が60歳以降に下がるため同様に下がります。
具体的には、時間外勤務手当、地域手当、期末・勤勉手当などが該当します。
また、定年延長に影響がないものは、扶養手当、住居手当、通勤手当などです。
その他、管理職手当、初任給調整手当などについては、改めて算定されます。
定年延長の退職金への影響|退職手当支給時期と金額に影響する
定年延長に伴い、退職手当がどうなるのか気になりますよね。
「支給時期」と「金額」に影響があるので、解説していきます。
退職手当の支給時期は当然延長に
これまでは、60歳で定年退職となるので、そのタイミングで退職手当が支給されてきました。
定年延長により、61歳が定年になれば61歳、62歳になれば62歳のタイミングで退職手当が支給されます。
現時点で、定年の延長は65歳までとなっていますが、今後の日本の人口構造や長寿命化を考えると、70歳まで伸びて、さらに75歳まで働くことになる可能性もありますね。
最近は、この定年延長がきっかけで、自分のキャリアを見直す公務員も増えているようです。
僕もその一人で、起業を考えてコーチングの勉強をしています。
個人的には、65歳まで今と同じ働き方で仕事を続けていきたいとは思えません。
定年延長で退職手当の額への影響は?
定年延長後、給料月額が7割に引き下げられるなら、その分退職手当が減ってしまうのでは?
このように心配する方も多いと思うので解説します。
実は、定年延長後の退職手当の計算は次の2つの期間をわけて計算して合算するので減額とはなりません。
- 60歳の年度までの給料月額で算定した退職手当
- 定年延長後の給料月額で算定した退職手当
次に、定年延長後、延長期間内で自己都合で退職した場合に影響はあるのかという点についても解説します。
例えば、65歳まで定年延長となり、60歳でもう退職したいとなった場合どうなるのかです。
この場合、退職事由は自己都合となり支給率が下がりそうですが、当分の間、退職事由は定年扱いになります。
まとめ|退職金の計算方法と定年延長の影響
それでは、今回の内容を振り返ります。
【退職金の計算方法】
退職手当=基本額(退職日の給料月額×退職事由別・勤務期間別支給率)+調整額
給料月額や支給率を確認の上、計算してみてください。
自動で計算したい場合は、下のサイトをご覧ください。
【定年延長の影響】
定年延長による退職金への影響は次のとおりです。
- 定年延長は2023年度から段階的に実施され、65歳まで延長される
- 退職手当の金額にマイナスの影響はない
- 60~65歳の間に自己都合で辞めても「定年」扱い
今後、65歳まで延長した定年の時期が、さらに70歳まで伸びることも考えられます。
仕事が楽しい、充実しているという場合は、そのまま定年まで勤めていくのが妥当な判断だと思います。
ただ、65歳、70歳まで今の仕事を続けたくない場合は少しずつ違う働き方をするための準備を進めることをおすすめします。
僕は、起業するためにコーチングの勉強をしながらブログ、ツイッターで情報発信しています。
今後も現状を変えたい公務員向けに役立つ情報を発信してくので、よろしければお気に入りへの登録、ツイッターのフォローをお願いします。
コメント