公務員早期退職者インタビュー(4) |富山県庁を退職しフリーランスの道へ|現在はデザイナー兼エンジニアとして活動中|小林ゆうすけさん

マイクをはさんでインタビュアーと受ける人の画像

元公務員へのインタビュー、4人目は、小林ゆうすけさんです。

小林さんとは、小林さんのYouTube動画を僕が見つけ、ツイッターを相互フォローして知り合いました。

富山県庁退職後、現在は、デザイナー兼エンジニアとしてフリーランスとして活動中です。

小林さんのブログはこちらです。

公務員を辞めて無職になりました。 – 適応障害から始まる頑張らない暮らしのブログ (yusukeweb.work)

各種SNSでも情報発信されているので、気になった方はフォローしておくと公務員を退職するという選択肢も身近に感じられると思いますよ。

また、フリーランスとして、チラシやパンフレットなどの広告、webデザイン、エンジニアとして活動されています。

お仕事の依頼は下記リンクから。

PORTFOLIO – デザイナー 小林ゆうすけ のポートフォリオです (yusukeweb.work)

それでは、インタビューの内容について一問一答形式でシェアします。

前半

  • 家族構成、年齢、大まかな経歴
  • 公務員時代の仕事、人間関係 
  • なぜ辞めたのか
  • 辞める前に準備したこと(転職、起業、資格取得など)
  • お金の問題をどうしたか(退職金、貯金、収入(答えられる範囲で))

後半

  • 辞めた後の仕事、人間関係、生活
  • 辞めて良かったこと
  • 辞めて後悔したこと
  • これから辞める人へのアドバイス
  • その他伝えたいこと

※音声については事情により一時的に掲載を中止しています。

目次

2023年4月8日 小林ゆうすけさんへのインタビュー

家族構成、年齢、大まかな経歴

家族構成、年齢、大まかな経歴

家族構成:独身

年齢:29歳(インタビュー時点)

大まかな経歴:4年制大学卒業→一般行政職として富山県庁に入庁(6年間勤務)→2022年3月末退職→フリーランス(デザイナー兼エンジニア)

公務員時代の仕事

公務員時代の仕事

公務員時代の仕事の内容

精神保健福祉に関する部署(2年)

県内でトラブルがあると警察、医療と連携して緊急対応するため、寝てるときでも電話が鳴り、次の日も仕事で体力的にも精神的にも消耗する職場だった。

周囲からも、ここを耐えられたらどこででもやっていけると言われるほどだった。

県立学校の学校事務(3年)

出向で県立学校の学校事務に配属。

業務内容は、人事関係の職場の人がやっている服務、休暇の管理、給与関係などだった。

前の職場に比べれば楽な仕事でストレスはほぼなかった。

芸術文化に関する部署(1年)

業務内容は展覧会などのイベントごとの企画運営。

配属されたタイミングが新型コロナウイルスの影響で、イベントを行うか中止するのか揺れている時期。

前年がイベント中止になっていて、一昨年の資料を見ながらどうにか進める感じで大変だった記憶がある。

  • 今までの部署とは異なる「企画」という仕事内容
  • イベントが実行委員会主催だったため、予算繰りが公費を扱うのとは異なるやり方だった
  • 感染症の影響でイベント自体の実行が不透明な状況

このような状況の中で、徐々に苦しくなり、適応障害で半年間休職することになった。

公務員時代の人間関係

公務員時代の人間関係

人間関係は、本当に6年間ずっと恵まれっぱなしだったと感じている。

あんまり同期、先輩、後輩とたくさん飲みに行くっていう感じではなかったが、 ただ結構居心地のいい職場が続いたと思っている。

噂話では、他の部署での良くない話を聞くこともあったが、自分がそれに直面することは全然なかった。

人によってその合う合わないはもちろんあるが、パワハラまで行くようなことはなかった。

上司の皆さんも本当に尊敬すべき人ばかりで先輩も見習いたい方が多く、 色々学ばせていただいたという感じだった。

別に嫌なことをされたわけではなく、優秀な方ばっかりだったので、それと比べて自分のできなさを自分で責めて勝手にストレスを感じているところはあったかもしれない。

なぜ辞めたのか

なぜ辞めたのか

体力、体調面での問題。

仕事に行くのが辛くなり、最終的にご飯を食べられなくなったり、外に出るのも辛くなった。

最後、休職するときには、 頭が全然回らなくなってしまい、職場に行っても、パソコンの前で固まってしまい、人と話していても理解が追い付かない状態だった。

最終的には、適応障害と診断された。

仕事に行っても、仕事ができない、役に立てないので、休むしかないと思い休みに入った。

何がそんなに辛かったのかというと、出先から忙しい本庁に戻って、いきなり最初に波が来たっていうのもあったと思う。

異動して、最初の週末にはもう体調不良が始まっていた感じで、その時点で、今年いっぱいでやめようというのは、自分の中で決めていた。

異動はこれからも繰り返していくので、その度に環境が大きく変わる中で、最初からフルパワーでやっていかないといけないっていうのが、この先ずっと続くというのを考えて塞ぎ込んでしまった。

異動ガチャと言うが、2、3年ペースでこの苦しみがまた来るのかと。

上司や先輩方は、わからないなりにやっていくのが自分と比べてすごくうまいというのを見てて感じた。

知らない人間関係の中で要所を押さえるというか、わからないなりにも、ここだけはっていうところをすごく見極めるのが早い。

自分は多分それが苦手なんだというのも、この時にすごく痛感した。

辞める前に準備したこと(転職、起業、資格取得など)

辞める前に準備したこと(転職、起業、資格取得など)

資格などは何も取らなかったが、今年度いっぱいで辞めようと決めた次の日ぐらいから、ウェブデザインがおもしろそうだと思い勉強を開始。

有料セミナーがあふれている業界だが、割と自分で勉強していくのが好きだったので、独学で学んだ。

入門書を何冊か買って読んだり、インターネットに落ちている情報を見て、手を動かしながら自分で勉強した。

忙しいときは手が回らなかったため、比較的余裕がある、自分の体調も割と悪くないときに少しずつ進めた。

SNSは何もやっていなかったが、フリーランス界隈のトレンド情報などをちゃんとキャッチアップしていきたいと思い、Twitterとインスタを退職後の準備という意識で開始。

SNSに流れてくる情報は有益だったので始めて良かったと思う。

ウェブデザインのことや個人事業主が知っておくべきこと、インボイス制度がそろそろ始まるということなど、Twitter経由で情報を仕入れることが多かった。

ウェブザインだけだったら、パソコンがあれば始められるので初期投資がいらないので、お金のことはあまり考えていなかった。

生活費だけなんとか目処がついていればという程度。

お金の問題をどうしたか(退職金、貯金、収入(答えられる範囲で))

お金の問題をどうしたか(退職金、貯金、収入(答えられる範囲で))

退職金は55万円ぐらいだった。

休職期間を差し引かれたため、普通に6年働くよりやや少ないぐらいの金額だと思う。

退職金は、その年の健康保険料とか年金とかで全部なくなるぐらいだったので、生活の足しという感じではなかった。

元々生活にお金をかけないタイプだったので、お金がかかる趣味などもあまりなく、当面、収入がある程度入らなくても、生活はなんとかなる程度の貯金はあり。

バイト抜きにして、貯金と投資信託みたいなのも持っていたので崩していけば 、2、3年ぐらいは何もしなくても暮らしていけるぐらい。

ルームシェアをしているので、家賃、光熱費、諸々半分だけで済んでいるが、1人暮らしだったら、多分もうちょっと焦っていたと思う。

ルームシェアをしていた理由は、お金が安く済むっていうのが1番。

個人的に広さは求めていなかったが、綺麗に1部屋使いたいので、2LDKを借りて2人で割った方が満足度が高い。

家賃と水道光熱費、駐車場代全部込み込みで3万円ぐらい。

この金額で済んでいるのは富山だからというのもあると思う。

辞めた後の仕事、人間関係、生活

辞めた後の仕事、人間関係、生活

仕事はめちゃくちゃ忙しくなることはない。

声がかかって空いていれば、引き受けるというぐらいの熱量でやっている。

デザインの仕事は、パソコンにずっと向き合っているので、ちょっと体を動かして、気分転換したいっていうのと、収入面もある程度フラットにしたいっていうのもあり、アルバイトも最近始めた。

遊びとアルバイトと趣味と本業が混ざり合っているような生活になっている。

アルバイトは倉庫の仕分けで、ひたすら商品を置いてくような作業。

割と慣れてくると無心でできるので、リラックスやエクササイズ的な効果もある。

気持ち良さ、収入面、外に出る機会にもなるので、本業と別にアルバイトを続けていけたら、そっちの方が多分、生活の満足度は高いだろうと思う。

人間関係については、そんなに変わらない。

元々、公務員時代からそんなに顔が広い方じゃなかった。

何人か県庁の同期、仲がいい友達とは、今も連絡を取ったり遊びに行ったりしている。

最後の辞めるきっかけになった職場の人とは、迷惑をかけたので今でも気まずいというのはある。

公務員時代、学校事務をやっていたときに、ゆとりがあって始めた趣味の1つのテニスを去年の秋ぐらいから再開し、徐々にそことの繋がりも戻しつつあるという感じ。

テニスサークルは少人数でやっていて、週1か、2週間に1回ぐらい参加している。

生活は、とにかく自由が増えたというのが1番感じるところ。

デザイン、ウェブ制作については、今のところクラウドソーシングサイトを利用して、そこからの仕事が、現状多い感じ。

ネット上に限らず、地元にも顔を広げるために、地域のコミュニティや勉強会があれば、意識的に足を運ぶようにしている。

本当は地元にガツガツ営業をかけていった方がいいと思うが、病み上がりというのもあって、無理のない働き方でいきたいと思っている。

仕事だけじゃなく、趣味とか気が向いたことをそのときにやるスタンスで、今のところ生活している感じ。

収入の都合もあるので、お金とのバランスも見ながら、どのぐらい頑張ろうかっていうところは、気をつけないといけないとは思っている。

辞めて良かったこと

辞めて良かったこと

自由が多いというのが、1番良かった点。

自分はなんでも自由な方が好きなタイプ。

公務員の仕事は自由がない方の仕事だと思う。

仕事のやり方や誰と関わるかについては、自分の力だけではどうしようもなく、職場の仲間や対外的なやりとりも非常に固定されている。

一方、個人で仕事をする場合、やりたくない仕事はやらなくていいという自由があるため、逃げ場が多くストレスが少ないと感じる。

働き方についても、毎日同じ時間に決まった時間に働くよりも、割とフレキシブルにやりたいときにやって、やりたくないときはやらないというやり方が自分に合っていると感じる。

自分の活動時間はなんとなく決まっているが、その時間で必ず仕事をする必要はないという自由がある。

平日に自由に動けるのがメリット。

例えば、サウナや風呂に行きたいと思ったとき、土日だとどこも混んでいるが、平日だったら空いているので、リラックスしにどこか行きたいと思ったときに、人がいないだけで満足感が変わってくる。

辞めて後悔したこと

辞めて後悔したこと

今のところ特に何もない。

ただ、安定した収入がなくなるので、収入に対する不安は、やめる前に考えていたよりも感じることが多いなとは思った。

自分からお金につながる何かをし続けないと、貯金の残高が目に見えてどんどん減っていくのは、予想以上にプレッシャーがかかる。

ただ、公務員をやっていたら良かったかというと、続けていても、どの道限界が来ていたと思う。

むしろ早い段階でこちらの道にシフトして、ちゃんと決断して偉かったなっていうのは自分では思っている。

後悔はない。

今後、転職の予定はあるか?

行政職に戻ることは多分ないが、転職の選択肢がないわけではない。

例えば、自分で事業を持っている方で、一緒に仕事していて楽しい人から、一緒にやりませんかみたいな声をもしかけてもらえたら、それは嬉しくて乗っちゃうだろうなと思う。

働きたい気持ちになれば、拒まずに働きたい。

今後、転職の予定はあるか?

行政職に戻ることは多分ないが、転職の選択肢がないわけではない。

例えば、自分で事業を持っている方で、一緒に仕事していて楽しい人から、一緒にやりませんかみたいな声をもしかけてもらえたら、それは嬉しくて乗っちゃうだろうなと思う。

働きたい気持ちになれば、拒まずに働きたい。

これから辞める人へのアドバイス

これから辞める人へのアドバイス

辞めようかどうか葛藤している人へ、YouTubeやブログで自分の体験談を発信している方の様々な生き方や、自分がした決断などを見て、取り入れることができると心の支えになる。

その人なりの人生観に基づいて、多様な生き方が展開されていることを意識すると、自分の選択肢が広がり、仕事を辞めた後の人生がよりワクワクするものに感じられた。

公務員を辞めると、自分はダメになってしまうと感じるかもしれないが、実際には社会に出ると、型破りな生き方をしている人がたくさんいることがわかる。

なんだかんだでその人たちの人生も進んでいる。

そうしたコンテンツを見ることで、今後の自分のモチベーションやインスピレーションにもつながると思う。

その他伝えたいこと

その他伝えたいこと

自分がいた環境を離れ、新しい環境に進んでいくことは、非常に価値があることだと思う。

最近改めて感じているのは、このような変化によって、自分の可能性がどんどん広がっていくこと。

特に公務員を辞めることを考えている人は、今後の人生をどのように進めていくかを考えなければならず、収入や家族のこと、自分が今持っているものを手放すことに不安を感じるかもしれない。

確かに、このようなリスクは非常に怖いもの。

ただ、実際に辞めてみると、人生がどんどん動いていく中で、想像もしなかった新しい経験や学び、出会いなどがたくさん待っていることに気づく。

逆に、公務員を続けている限り、経験することのできないことがたくさんあるということにも気づいた。

公務員を辞めるかどうかを考える際に、どちらを選んでも何かを得ることと失うことがあることは共通している。

公務員を続ける場合には、今持っているものを手放さずに済むというメリットがある一方、辞める場合には、新しい可能性が広がるというメリットがある。

最終的に、どちらが得だったか、損だったかは予測できないことだが、新しい道に進んでいくことで、想像もしなかったイベントに出会えるチャンスが増えることは間違いない。

例えば、今回のヒロさんとの会話も、私が去年公務員を辞めたことがあったからこそ実現したもの。

そのときはまったく思いもしなかったことだった。

このようなことを感じるたびに、自分が新しい道に進んでよかったと思う。

退職を決断したことで、自分の可能性がどんどん広がっていくことをポジティブにとらえることができるのは、非常に大きな価値がある。

最近は、自分に言い聞かせるように、退職によって何かを失うことよりも、新しい可能性が広がることを意識している。

これからの未来に向けて、常にポジティブに考えて前進していくことが、人生を楽しく充実させる秘訣だと思う。

小林さんへのインタビュー感想

小林さんは、富山県庁で公務員として6年間働かれていました。

お話してみた印象は、「誠実で聡明」。

小林さんは、公務員時代の最後の半年は適応障害になってしまったのですが、周囲の人間や仕事への不満が話の中に出てこないのが印象的でした。

また、公務員の仕事に関しては、自信を失う部分はあったと思います。

ただ、その後の退職、フリーランスとしての活動への判断がとても早く、自分の適性を冷静に見極め、新しい挑戦をする勇気も持ち合わせているのだなと感じました。

インタビューをしながら特に印象に残ったお話を2つ挙げたいと思います。

他責思考で留まるよりも自分の直感を信じて動いた方が後悔しない

小林さんのような状況に置かれた場合、人は次のような考えに支配されることが多いと思います。

  • 上司のマネジメントが悪い
  • 人事が悪い
  • 仕事がつまらない

または、自分を卑下して絶望する人も多いと思います。

そんな中で、自分自身を信じて、自分の直感に従うことは意外とむずかしいことです。

他人に責任を押し付けて留まる方が楽ですが、少しでも自分の人生を良いものにしたいのなら、他人や環境が変わることを期待するより、自分にできることを探した方が生産的ですよね。

小林さんは、まさにそれを体現してフリーランスとして歩み始めています。

適応障害を経て起業を目指している自分としては勇気をもらいました。

自分にとっての幸せとは

公務員は、「幸せに生きていくのに無難で安全な職業の一つ」という捉え方をしている人も多いと思います。

僕もそうでした。

実際は、当然ですが幸せの形は人それぞれで、公務員が合っている人もいれば合っていない人もいます。

小林さんは、大きな成功を望んだり野心があってフリーランスになったわけではなく、自分にとって心地よい、無理のない生活を送るというささやかな希望をもって公務員を退職されています。

「well-being」という概念が企業や個人にまで広がってきていますが、一般的な正解と思われる道ではなく自分の心の声を大事にするのが、これからの時代の生き方なんだなと改めて感じました。

僕も起業に向けて迷わず進んでいきたいと決意を新たにしました。

このブログでは、公務員を早期退職した方へインタビューを行い、記事にしています。

他の方の経験談を読みたい方は以下のリンクからどうぞ。

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