元公務員へのインタビュー、5人目は、西崎剛介さんです。
西崎さんとは、3人目のインタビュー相手の澤村一誠さんのご紹介で知り合いました。
八尾市役所退職後、現在は、コーヒー専門店の経営をしながら自由度の生活を実現されています。
西崎さんは情報発信はされていませんが、「もし相談などあればお気軽にどうぞ。」とのことでした。
もし、相談などされたい方はこちらへご連絡を!→ 西崎さんにメールで相談
それでは、インタビューの内容について一問一答形式でシェアします。
※項目の横に音声の目安時間を記載しています
- 家族構成、年齢、大まかな経歴(00:42)
- 公務員時代の仕事、人間関係(04:00)
- なぜ辞めたのか(12:48)
- 辞める前に準備したこと(転職、起業、資格取得など)(17:09)
- お金の問題をどうしたか(退職金、貯金、収入(答えられる範囲で))(29:40)
- 辞めた後の仕事、人間関係、生活(41:53)
※前の項目でも仕事についてお話されています。 - 辞めて良かったこと(58:13)
- 辞めて後悔したこと(1:02:15)
- これから辞める人へのアドバイス(1:07:25)
- その他伝えたいこと(1:10:32)
※音声については事情により一時的に掲載を中止しています。
2023年4月25日 西崎剛介さんへのインタビュー
この記事はインタビューをもとに、文面を作成し、西崎さんの補足を加えた内容となっています。
一部、音声にはない部分やインタビューの発言と異なる部分がありますが、ご本人の意図を忠実に反映している結果なのでご了承ください。
家族構成、年齢、大まかな経歴
- 家族構成、年齢、大まかな経歴
-
家族構成:子供は独立して現在は妻と二人暮らし
年齢:58歳
大まかな経歴:
大卒後、塾講師2年→市役所勤務29年→53才のときに起業し、コーヒー専門店を5年経営。
大学時代のアルバイトからそのまま塾に就職して塾講師になった。
子供達に教える仕事は楽しかったが、将来のこと(安定性、給料)を考えて市役所と国税専門官を受験。
どちらも合格したが、市民の近いところで働ける市役所を選んだ。
公務員時代の仕事
- 公務員時代の仕事
-
児童福祉、人事労務、福祉政策、教育委員会(総務人事、学校施設管理、図書館)
管理業務、労務管理の仕事を長くやっていた。
管理部門の仕事だったので独特のプレッシャーや責任感の部分でストレスは大きかった。
人事労務の仕事は、分限懲戒などで人間の嫌な部分を目にすることも多かったが、仕事と割り切って、組織の更生のためと考えてやっていた。
当時は若いし気も張っていたから一途に張り切ってたいたのだと思う。
とはいえ、割り切っているつもりでも精神的には応えるので、一人の時間を作ったり、旅行に行って発散していた。
公務員時代の人間関係
- 公務員時代の人間関係
-
基本的には上司、部下に恵まれ、働きやすかった。
心の中の割合としては、80%は恵まれていて、20%は嫌だと感じる部分があった。
大きな組織ならどこにでもあることだが、働かないおじさん、おばさん、ミスする人は一定いる。
出世競争が大好きな人、派閥を作りたがる人もいる。
西崎さんそんな人たちにはドン引きでした。
なぜ辞めたのか
- なぜ辞めたのか
-
予算、人員減少などによる閉塞感。
若い時から、定年まで勤めようとは思っていなかった。
人員削減、予算がないなど、満足いく仕事ができなくなり、「つまらない」と感じるようになっていった。
43才のときには、 起業の計画を大まかに立てていた。
その具体化に向けて行動して、時期を見計らって辞めたいと思っていた。
辞める前に準備したこと(転職、起業、資格取得など)
- 辞める前に準備したこと(転職、起業、資格取得など)
-
在職時から公的な起業塾、専門学校、会計士に相談しながら独学していた。
最初はブログでアフィリエイトをやって、起業資金にしようと思っていたが、かける時間の割に、あまりお金にならなかった。
飲食業をやっている親族がいて、事業としてイメージが湧くことから、妻と相談して幅広い飲食業の種類から、さらに絞り込んで今の事業をやることに決めた。
【起業塾について】
大阪市がスタートアップを支援する産業創造館(公的な起業塾)を委託運営しており、その中に、飲食店を開業したい人向けのプログラムがあった。
飲食に関わる様々な分野の専門の方、実際に事業をやっている経営者が講師に来たり、実習で塾の卒業生の店で報酬なしの見習いとして働いたり、経営者と話をしたり中身が濃かった。
民間だったらもっと費用がかかると思うが、半年で2万円程度だったと思う。
実践的な経験を積み、お金の流れ、収支などの会計的なことを学んだ。
今ならもっと公的な機関が実施する塾も色々あるんじゃないかと思う。
また、同じ思いを持った人達とのネットワークができたのが良かった。
すでに営業開始している人が修行で参加している場合もあれば、これからやろうとしている人、社長さんが副業としてやろうとしている場合もあった。
様々な業界から様々な人が集まっていたので、色々な生き方、考え方、稼ぎ方があることを知って刺激になった。
【専門学校について】
飲食の衛生面について学ぶために休みの日に民間の専門学校に通った。
料理のいろは、応用を教えてもらった。
ジャンルは喫茶業務について特化して学んだ。
起業塾と並行して専門学校に通っていた。
【会計士への相談】
大学の友人が会計士になっているので、一緒に収支について考えてもらったり、起業のシミュレーションをしていた。
お金の問題をどうしたか(退職金、貯金、収入(答えられる範囲で))
- お金の問題をどうしたか(退職金、貯金、収入(答えられる範囲で))
-
開業資金は退職金に頼らず貯金、出資による。
退職金は29年勤めて、2,000万円ぐらいだった。
ただ、この退職金を開業資金に充てることはしないでおこうと思っていた。
自分の中では、(事業に充てるのは)退職金の使い道ではないと思っていたので、ずっと貯金してきたお金を開業のために使った。
現在の(コーヒー専門店の)収入は、役所時代と同じぐらい。
店が梅田の繁華街の商圏にあり、人通りが多いところで開業しているので立地に恵まれていると思っている。
起業を前提に、48才のときに土地を押さえた。
実は、店を開けたのは8年前。
当初は妻が働いて、自分はバックヤードでお手伝いという形をとっていた。
妻の本音は、私には安定収入のある市役所にそのまま勤めていてほしいと思っていたようだ。
一方で、僕にとってはお店で色々やるのは苦にならず楽しんでいた。
経営をして強く実感したのは、これまで大阪で震度6の地震があったり大型台風の直撃やコロナウイルス感染症の影響など、想定外のことは起こるものだということ。
辞めた後の仕事、人間関係、生活
- 辞めた後の仕事、人間関係、生活
-
※辞めた後の仕事は、前の項目でお話いただいています。
【人間関係について】
市役所時代に気のあった仲間数人との付き合いは続いているが、他の人達は共通の話題がなくなりフェードアウトしていく。
基本的には新たな業界での人間関係が主になる。
市役所に関係ない元々の友達のほかは、同業者や近所の人たちと情報交換を含めて集まって自由に意見交換したりする。
【生活について】
どう働くのか、「もしくはプライベートな自由時間を多く持ちたいのか、どんなお店にするのか」を計画段階から突き詰めた。
「大きくリッチに稼ぐよりも自由な時間が欲しい。来店いただくお客さんに特別な空間と高品質なものを提供したい。」という考えを経営に反映したかった。
6時に起きて23時に寝ている。
朝に本を読んで勉強したり、仕事、フィットネスクラブに行くのが生活パターン。
日々の自由度が高いため、市役所時代よりも良いことの習慣化を意識している。
よく寝る、運動、趣味の時間を多く持つようにして、嫌なことは絶対にしないと決めた。
また、2か月に1回は旅行に行っている。
コロナ期間中は、北海道から沖縄、九州、紀伊半島、東北、四国など周遊、コロナ前は海外旅行にも多く行っていた。
今の自分達の生活がうまくいっているかどうかは、それぞれの価値観と考え方次第。
どのレベルでいくらで生活するか覚悟を持てばいい。
【補足質問:収入のセーフティネットについて】
商売は波があるので、1、2年トータルで考えている。
生命保険に入っていて、高額医療もあるから、長期の病気になっても金銭面で大きな心配はしていない。
健康が第一だと思っている。
副業としてマンションを購入し、ワンルーム経営を細々していて、大きくはないが毎月定額の収入がある。
辞めて良かったこと
- 辞めて良かったこと
-
公私共にやりたいことが沢山できる。
仕事を毎日楽しんでいるし、旅行など自由な時間が増えた。
役職が上がると重要な会議が増えていき休みにくくなる。
市役所時代は、旅行の予定に会議が入ったりしないかドキドキしていた。
起業時から本音に素直に従おうと決めて、自問自答していた。
それが起業の方向性と経営内容になった。
面白いことをしたいというのが自分の中にあって、役所の仕事が段々自分に合わなくなっておもしろくなくなるにつれ我慢はしたくないと思った。
辞表を出したときは、手が震えたが、出した後は晴れ晴れした。
辞めて後悔したこと
- 辞めて後悔したこと
-
もっと早く起業しておけばよかった。
ただ、良き同僚に恵まれたいたので、もっと一緒に働きたいという思いはあった。
また、辞めてしまって周りに迷惑をかけるというのも考えたが、気持ちが冷えてくると市役所の仕事はこなすが情熱を失ってしまい、自分の中で矛盾を抱えた気持ちになり、ストレスになっていた。
幹部職になると勤務時間外でも様々な仕事や付き合いが入ってくるし、目標達成・日々の問題解決などの重責を果たすことに追われ、起業準備の時間が取りにくくなる。
どちらかを諦めないといいものできないなと強く感じていた。
職場での違和感が膨らみもう自分の居場所ではないと思うようになった。
きっと起業に気持ちが強く傾いていたんだと思う。
管理職になると仕事の内容がどんどん変わってきて、現場から離れてしまう。
僕は現場での仕事がすきなタイプだと思っている。
60才までみんなそうやって働いているが、自分はできなかったし、若い頃からそうなるだろうという気はしていた。
これから辞める人へのアドバイス
- これから辞める人へのアドバイス
-
計画や準備倒れになる前に、パッションが熱いうちに、使える特技、好奇心、体力、家族の支援をフル活用して次のステップにすすもう(慎重に)。
子供が小さかったり、奥さんの気持ちがあるので、そこは十分に考えないとワガママになってしまう。
勢いで起業すると失敗しやすい。
また、扶養家族がいるなら慎重にした方がいいと思う。
一番良いのは、奥さんの理解と協力。
子供にも良い教育、思い出を作れるように環境づくりが必要じゃないかなと。
子供達の学費などの問題もあるので、子供が卒業するときを見すえて、辞めるタイミングを合わせた。
その他伝えたいこと
- その他伝えたいこと
-
自分の気持ちに従って素直に動いた方が快適。
公務員に限って言えば、ほとんどの人が最後まで勤める。
その中で実際に辞めるのは大変。
それでも本当にやりたいことがあるなら自分の気持ちに正直になったらいいと思う。
周囲の人がみんな我慢しているからといって、同じである必要はないし、できなかったからと言ってダメ人間だというわけでもない。
気持ちが動いて、新しい世界を切り開こうということならそっちに向かって進んだ方がいい。
西崎さんへのインタビュー感想
西崎さんは、八尾市役所で公務員として29年間働かれていました。
お話してみた印象は、「気さくな人柄、人に流されない強さ」を持った方でした。
西崎さんは、若い頃からいつか辞めることになると思いながら市役所で働いていたそうです。
それでも次長まで昇進されているので、元々能力が高く、気持ちを切り替えて目の前のことに集中できる方なのだと思いました。
そういった力も起業して成功できる要因なのだと感じました。
僕も起業準備に取り組みつつ、目の前の仕事にもしっかり向き合います。
インタビューをしながら特に印象に残った点を2つ挙げたいと思います。
「おもしろそう」は何より強い
嫌々やっている仕事で成果を出すのはとても難しいと感じます。
成果を出せないどころか、場合によってはメンタル不良になることも身をもって体験しているので、西崎さんの決断にはとても共感し勇気をもらいました。
社会人になると、常識に当てはめて、「つまらない」「おもしろそう」といった自分の気持ちを優先して動くことがどんどん難しくなってきます。
西崎さんのお話は、「おもしろうそう」という好奇心の芽を大人になってからも失わなければ、楽しい未来が切り拓けるという好例だと思います。
今仕事が辛い人に、ぜひヒントにしていただければと思います。
幸せかどうかは自分次第
インタビューの中で「今の自分達の生活がうまくいっているかどうかは、それぞれの価値観と考え方次第。」という言葉がありました。
幸せの定義も、今の状況が幸せかどうかも自分が決めることで、周囲の声や常識に合わせる必要はないということだと解釈しました。
一昔前は、良い大学、良い会社への就職、結婚、マイホームなど画一的な幸せを信じて進めば、ある程度の幸福の担保があったと思います。
現在、日本の未来は不透明、変化も激しい時代です。
このような状況下では、自分で自分の幸せを定義し、選び取っていくことが重要。
西崎さんは一足先にそれに気づいて、自分にとっての幸せな生活を手に入れました。
僕は40代で、常識的に言えば転職や起業するには遅すぎると思いますが、常識に縛られずかつ慎重に起業すると決意を新たにしました。
このインタビューがあなたにとって、幸せとは何かを考えるきっかけになれば幸いです。
まずは自己分析から
もし、今の仕事に不満があり将来に不安があるなら、自己分析から始めてみませんか?
リクナビNEXTの「グッドポイント診断
また、求人を見てみると意外と自分に合ったものが見つかるかもしれません。
\ 今すぐ診断してみる /
このブログでは、公務員を早期退職した方へインタビューを行い、記事にしています。
他の方の経験談を読みたい方は以下のリンクからどうぞ。
コメント